株式会社 a.s.ist は、2026年5月27日に開催された NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の懸賞金活用型プログラム「製造業DX ~製造技能の伝承・新たな製造ノウハウの構築をデジタルで実現せよ~」のコンテスト・表彰式に登壇しました。テーマ2「新たな製造ノウハウの構築に関するデジタルソリューション開発」の成果として、「自律的AIを用いた統計的異常検知の自動構築」を発表しました。
製造現場の課題 ——「熟練者の五感」への依存
多くの製造現場では、設備状態の監視が熟練技術者の経験と五感に支えられています。視覚(状態・変色)、聴覚(音・振動)、触覚(温度・振動)、そして経験・勘によるパターンの違和感——こうした判断はベテランの暗黙知に依存しており、次のような課題を生んでいます。
- 熟練者に依存した設備状態の監視
- 暗黙知の属人化により、技能伝承が難しい
- センサデータ解析は専門知識と工数が必要
- 深層学習は多数のデータが必要
現場で異常が起きても、熟練者の判断基準は言語化されにくく、DX(デジタル化)が難しいのが実情です。a.s.ist はこの課題に対し、「暗黙知の形式知化」「専門知識依存の低減」「低コスト導入(スモールスタート)」の3点を解決すべきポイントと位置づけました。
開発したソフトウェア —— 自然言語とAIエージェントで異常検知を自動構築
本ソフトウェアは、自然言語による指示と、蓄積されたアルゴリズムのデータベースをベースに、異常検知アルゴリズムを自動で構築します。専門知識がなくても、やりたいことを文字で入力するだけで現場のデータ解析を始められます。
- データ入力 — txt・CSV など様々な形式のセンサーデータを入力
- 自然言語で指示 — 「どのような異常を検知したいか」を文字で入力
- AIでコード自動構築 — 先端技術・ノウハウのデータベースに基づき、AIが解析コードを構築
- 常時監視・コード蓄積 — 構築したアルゴリズムでデータを自動解析・常時監視し、異常を検知するとメールで通知。コードはデータベースに蓄積し、現場で継続的に改善
3社との実証実験(PoC)
3つの業界の企業様にご協力いただき、実機環境での実証実験(PoC)を行いました。
- 株式会社マテリアル様(金属加工機械の振動・音センサー)
安価なセンサーを後付けするだけで設備監視を実現。切削(掘削)時の音データの大きさや高低から、異常検知が可能であることを確認しました。 - 株式会社バルカー様(真空ポンプの超音波・音データ)
従来 1 週間程度かかっていたデータ前処理を、1 日以内に短縮できる見込み(約 10 倍の効率化)。秘密度の高いデータもローカル環境で閉じたまま自動解析できます。 - トヨタ自動車株式会社(車載センサーデータ)
専門家が構築したアルゴリズムと同等性能の異常検知を、自動で構築できました。複数データに基づく異常検知でも同等の性能を実現しています。
ベンチマークでも専門手法と同等以上
統計モデルによる異常検知を、公開されている複数の振動センサーのベンチマークデータセットで検証しました。既存の代表的な異常検知手法と比較したところ、同等以上の F1 スコアを達成。ベンチマークと同等以上の精度で、異常箇所とその原因の特定が可能です。
関連リンク
NEDO Challenge 製造業DX 特設サイト:https://www.manufacturing-dx-challenge.nedo.go.jp/